矯正後の保定と後戻り

矯正後の変化 保定の考え方  保定装置


矯正後の保定の考え方

 矯正 後の 保定 期間を一律に決定することは出来ません、というよりも色々な考え方があると言った方が正しいでしょう。
実際の 矯正 治療期間の半分の期間を 保定 、いや倍の期間を 保定 、いやいや半永久保定だ・・・。  慣習的に2年間(最初の1年間は24時間、後の1年間は夜間のみ)の保定を行うことが多いようです。

 矯正 後の周囲組織の適応を考えると、何年保定したから100%安定している、ということは保証できません。
保定 を止めた時点から、大なり小なり後戻りが生じると考えた方が良いかと考えます。  即ち、積極的な器械的保定が終わったら、自然保定という考え方が重要になるわけです。

 いわゆる歯並びが安定する為には、次の条件が必要であると考えられています。
1. 口腔周囲の筋肉(咀嚼筋、顔面筋、舌)が正常な機能力となり、バランスを保つこと。
2. 正しい前歯被蓋や上下の緊密な噛み合わせ、機能的に正常な噛み合わせなど、静的&動的に安定した咬合。
3. 新しい環境に顎骨を含めた歯牙支持組織が適応すること。

 成長期の子供の場合、骨格の成長にともなう変化が重要視されます。
大人の場合は、歯牙支持組織の適応変化が重要視される事が多いようです。

症状別の考え方

叢生(凸凹)の場合

 歯肉繊維はリモデリングが遅いため、最低でも1年以上、は保定することが必要です。
実際に治療をする立場から言うと、保定を止めた時点からどうしてもある程度の後戻りを生じるので、半永久とは言わないまでも、できるだけ長期に渡って保定して、歯周組織のリモデリングを確実にしたいところです。
V級傾向にある患者の場合、持続的な下顎の前方成長により下顎前歯が口唇に押される圧力が強くなり、乱れることもあります。

上顎前突(U級関係)の場合

 U級関係の再発は、歯の移動(上顎の前歯の前方移動&下顎の歯の後方移動)と下顎骨に対する上顎骨の相対的過成長が合併することで生じます。
上顎骨の成長のポテンシャルが落ち着くまで、ヘッドギアなどの顎整形力を上顎に対して適用するか、FKOなどの機能的装置を適用することで、再発防止を図ります。

下顎前突(V級関係)の場合

 V級関係の再発は、上顎骨に対する下顎骨の相対的または絶対的な過成長により生じます。
下顎の前方成長は青年期後期に至るまで続くこともあり、長期に渡る経過観察が必要です。
軽度のV級関係であれば、FKOなどの機能的装置の併用で補正できます。  しかし、下顎に対する顎整形力を期待されるチンキャップは下顎の成長量を抑えるのではなく下顎を後下方に回転させ成長の向きをを変える作用しかありません。  そのため、重症の場合は、成長が終了した時点で外科的矯正治療を行うことが必要になることもあります。

前歯部開口の場合

 前歯の圧下と奥歯の挺出が合併して生じます。
上下の前歯の間に指や舌を挟み込むといった異常習癖(拇指吸引癖、舌突出癖)は、動的治療の妨げになるのはもちろん、再発の大きな原因になります。
ハイプルヘッドギアの併用、,バイトブロックの付いた機能的装置、咀嚼筋の訓練による奥歯の萌出の抑制で、再発防止を図ります。


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矯正歯科治療における保定と後戻り(再発)の背景となる基本的な事柄について説明しています。